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2016.06.26 *Sun*

Twitterにて

小説書く人向けRTされたら晒す というタグをRTされてないけどやりました。
その中の最後【書いたことのないジャンルを書く】で一本小話です!
一応和風ファンタジー。よくありがちな平安妖怪モノです。……和風してない? 仕様です( ー`дー´)
かの有名な某陰陽師さんをもじったキャラが登場します。名前はわざとです、決して変換ミスではないです!

実は前に書きたいなぁって言ってた、日本神話モノから設定を思い出しつつ打ち込んだシロモノだったり。
なのですっごい続きそうな感じですが続き書けるかどうかは完全に未定になります……。
データ飛んだのが本当に痛い。ストーリーの流れは結構覚えているのですが、設定として考えてたオリジナルの呪文が消えたのがほんっとうにショックでorz

そんな愚痴は置いといて、お暇な方よろしければどうぞー!
 土御門家――貴族の末端にあるものでありながら、血族ではなく陰陽道に精通する実力ある術師を当主とする、一風変わった一族が京にはあった。
 跡取りもろくに作らず、才能ある若者や幼子をどこからか拾っては養子に取り、年に関係なく厳しい修行を課す。傍目から見れば狂気的にも感じられる恐ろしい教育という名の拷問。大半の子供は道半ばで命を落とした。僅かに残った子供は術者として、あるものは武人として御所の守護や、京を脅かす妖怪どもの退治へと趣く。
 彼らを知るものは多くがこう言った。

『奴らは皆、執念深く“何か”を狙っている――まるで狩人のようだ』と。


 夜半。
 土御門家次期当主筆頭とうたわれる青年『土御門清明』は筆を置いた。
 文机に整頓され置かれた半分の紙には、凡人には理解できない呪術の込められた文字が書き込まれている。少しでも呪術に心得のある者が呪文を唱えれば、瞬く間に術が発動するだろう。それほどまでによく組まれた術式だった。
 カタ、と消しきれなかった足音が清明の耳へ届く。
 彼は表情を崩さず、机に背を向け襖に対面する形で姿勢を正した。少しの間が空き、控えめに襖が開かれる。

「清明さま、お時間よろしいですか……?」

 まだ幼い少年の声。一ヶ月ほど前から土御門家に入ったばかりの者だと清明は記憶していた。

「お入りなさい」

 恐る恐るといった風に、まだ十に満たない幼子が清明の私室へ足を踏み入れる。暫くの間は俯き続けていたが、意を決したように此方と向き合い、視線を交わした。
 黒く純粋な瞳の中に僅かながら暗い紅色を滲ませている。彼がいまどのような状態にあるか、手に取るように分かった。

「清明さま、僕に呪術をお教えください」
「……それは私ではなく、当主に訴えるべきです」

 教育の方針を定めるのは現当主。いくら清明が次期当主に見込まれているといっても、勝手に術を授けるような行為は許されない。少年もわかっているだろう。ここへ来てすぐ、そんな我儘を言う権利は剥奪されているのだから。
 でも、と少年は食い下がる。
「僕はもっと早く、もっと強くならなきゃいけないんです! だからどうか当主様には内密に、お願いいたします!」
「貴方と同じことを思う者はとても多い。けれど、そういった者ほど力量を見誤り命を落とす。……今は身体をつくるのが先決です」
 土御門は陰陽道の使い手。陰陽道とは即ち、妖怪を使役する呪術。半端な術者は、使役するはずの妖怪に身も心も持っていかれる。そうならないためにも幼い頃から過酷な修行を積み、肉体と精神両方を鍛える必要があった。少年はまだどちらも出来ていない未熟そのもの。
「でも! ……だって」
「気持ちは理解できます。ですが此ればかりはどうしようもない。……今日はもう休みなさい」
 これ以上の会話は不要だと、清明は目を伏せ少年を促した。少年は肩を震わせ手を堅く握りしめている。
 せめて部屋まで送っていこうと清明が立ち上がりかけたところで、少年がぐっと手を伸ばし掴みかかってきた。少年の瞳が爛々と紅く輝き始めている。

「どうして…………どうして僕の力は弱いんですか! あなたと同じ腹から生まれたというのに――――!!」

 ぱしんっ

 乾いた音が、静かな夜に痛々しく響いた。
 そこまで強く力を込めたわけではない。少年は精神的な衝撃のほうが強かったのだろう、呆然と清明を見上げている。

「……吉明、ここへ来て一番始めに教わったはずです」
 清明は静かに告げる。

「我々は『妖狐の落とし子』である故に何時如何なる時も精神を乱してはならない、と。この身に流れる忌まわしき妖の血が、いつ己を飲み込むかわからないのですから」


 ――――曰く。
 京の都に九つの尾を持つ妖狐現れたり。この世のものとは思えぬ絶世の美女に化け、老若平民貴族問わず一夜をともにする。夜明けに女の姿はなく、残されたのは生まれたばかりの乳飲み子のみ。幼子は常人の数倍早く成長し、人を襲う狐憑きへ転じるだろう。


 百年ほど前よりこのような噂が広がった。
 噂は真であり、狂った狐憑きたちの手によって多くの民が落命した。この事態を収めるべく立ち上がった当時の土御門家によって、妖狐が残していった子どもたちは皆、土御門へ引き取られた。妖狐の血と力を引き継いだ落とし子たちは陰陽道の術と相性もよく、土御門家としても都合が良かったのだ。

「……先ほどの言葉、私の前以外では決して口にしないよう。殺されても文句は言えません」
「みんな、母を恨んでいる……」
「“母”と呼ぶのもやめなさい」

 落とし子たちは皆、覚えている。自分たちを抱きかかえ子守唄を歌ってくれた暖かな存在を。一晩に満たない短い間にもかかわらず、その温もりは身体の奥底にしっかりと刻まれているのだ。

 だからこそ、彼らは許せない。
 抱いていた腕が離れ、とても小さく呟かれたその言葉を。


 ――――――この子じゃない。私の愛し子はどこにいるの……?


 そう言って、彼女は立ち去った。
 その後姿すら覚えている者もいる。引きとめようと腕を伸ばした者も、必死に泣き喚いた者もいた。しかし誰一人として彼女を止められたものはいない。

 土御門家の人間は皆、妖狐を追っている。妖狐に復讐の鉄槌を――そう当主は叫んだ。
 多くの者はその念に従い、切磋琢磨修行を積む。命を削るような真似も、そうまでしてでも彼女を追い詰めたいという積年の思いからくる。

「清明さまは、どう思っているのですか?」

 少年は母としての温もりの記憶が強く残っているため、未だ憎めずにいるのだろう。成長過程からみて、生まれて一月半程度なのだ。無理もない。
 それを察しつつも、清明は淡々と事実のみを告げた。
「京を脅かす妖怪は退治すべきです。奴らに人の情は通用しない。我らの思いが通ずることは……決してないのです」
「…………はい」
 今度こそ少年を部屋へ送るため、彼の手をとった。少年は俯きつつもそれに従う。

 夜はまだ長い。今日もどこかで、妖狐の落とし子が産声を上げているのかもしれない。百年以上続くこの連鎖を、己は立ち切ることができるのだろうか。
 問いに応えることは、誰もできない。
category : 小話

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